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4.その果てに望んだもの

「リリィ――ッ!」
 絶叫して、絵麻はがくりと床に手をついた。
 助からない。
 でも、絶対に嫌だ。こんな終わりは嫌だ。
 絵麻はポケットから青金石を取り出した。
 祈るように、力を込める。けれど、石は青いままで、光を発しない。
「お願い……リリィを助けて」
 石は応えない。
 カノンを失った時も、絵麻は能力を使おうとした。けれど、あの時は発動
しなかった。
 そのあとで石は何度も自分を守ってくれたのに、あの時、カノンの事を助
けることはできなかった。
「嫌だよ……わたしのことだけ助けてくれる力ならいらない……」
 大切な人を守れない力なら、いらない。
 閉ざした瞼から涙があふれた。
 青金石に涙が落ち、僅かに虹色に輝く。その時、絵麻は自分の体から何か
を引き抜かれるような感触を覚えた。
「あ……」
 力が抜け、がくんと、前のめりに崩れる。
 うつ伏せになった視界に、誰かが立っていた。
「誰?」
 必死に視線を上げる。
 そこにいたのは、白いサンドレスをまとった、自分と同じ顔の少女だっ
た。
『早く私を呼びなさい』
 その声は絵麻の内側から響いた。
「あなた……誰?」
『そうすれば、いくらでも助けてあげるわ』
 絵麻はリリィを見た。
 まだ血が噴き出している。助からない。けれど、助けたい。
「助けて……お願い。
 必ず、あなたを呼ぶから……」
 もう一人の自分が笑う。
 次の瞬間、絵麻の意識は闇に堕ちた。
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