「……ま。絵麻?」 「あ、はいっ」 「ぼーっとしちゃって。憧れの中央首都にのぼせてるの?」 リョウが、絵麻の目を覗き込んでいる。 「ううん……何でもない」 「今から自由行動取るけど、どうする? 誰かと一緒に行かないと絵麻は迷う でしょう」 「誰がどこに行くの?」 「えっとねえ、あたしは信也に付き合ってもらって買い物」 「アテネ、お兄ちゃんと一緒に病院ー」 「病院?!」 ぎょっとした絵麻を見て、シエルは苦笑いすると元気な妹の頭に手を置いた。 「オレの障害者手帳の更新だよ。リリィも一緒だけど、どうする?」 「リリィも?」 彼女は形のいい顎をこくりと頷かせた。 「アタシは封隼と一緒に宝飾屋さんに行くんだけど」 「……宝飾?」 「封隼のピアス、アタシが血でダメにしちゃったのよね」 そういえば、封隼は初めてエヴァーピースに来た頃2つ組になった鈍色のピ アスを付けていた。ケガをした時に血で錆びてしまったようで、その後つけて いなかったのだが。 「翔と哉人は?」 「僕は図書館で調べ物」 「その辺をぶらぶらしてるつもりだけど」 「うーん……」 リョウか唯美についていくのがいちばん楽しそうなのだが、邪魔をしてしま うだけだろう。病院に行くのはあまり気が進まないし、哉人と一対一というの は論外だ。 「じゃあ、翔についてく」 「OK。それじゃ、6時にまたここね」 そう言って、10人はまた別々に行動し始めた。