2.永遠の誓い 『全員、契約続行ですか』 話し合いがまとまったところで、全員を代表して信也がPC総帥、Mr.P EACEの直属秘書であるユーリ=アルビレオに通信をいれた。 「そういうことでまとまりました」 『それでは、明日契約更新を行います。執務室に10人は狭いですから……半分 ずつ来てもらえますか? 昼休みと業務終了後にでも』 「わかりました」 『時間帯とメンバーはそちらで合わせて下さって結構です。それでは』 「それでは。交信終了」 信也はスイッチを切り、通信用のインカムを所定の位置に戻す。 メンバーは場所を台所からリビングに変えて、思い思いにくつろいでいた。 「何だって?」 「明日の昼休みと業務終了後に、半分ずつの人数で来いってさ」 「割り振りは?」 「えっと……自由に決めろって」 「それじゃ、時間の都合がつく方でいいかな」 もう1度話し合う。 結果、シエル、アテネ、唯美、封隼、哉人が昼休みに。絵麻、翔、リリィ、 信也、リョウが業務終了後にMrの執務室に行くことになった。 「アテネ、NONETに入るんだったら自分で交渉しなよ?」 「うん。翔さん」 「マスターの証明書類がいるよ?」 「???」 「証明書類。後で部屋に来てくれれば、僕が出してあげる」 「ホント? それがあったら、アテネみんなと一緒にいられる?」 アテネが無邪気に翔をのぞきこむ。 翔は目を細めて。 「Mr.PEACEがいいって言えばね。多分大丈夫だろうけど」 「♪」 「あ、部屋に来たらデータ取らせてもらえる? 翡翠のデータ」 「うん、いいよ」 楽しそうな2人が、絵麻は何となく面白くなくて。 それでも、目がはなせなくて。 その視線に気がついたのか、翔が絵麻の方を向いた。 「絵麻は、道わかる?」 「え? PCまで行けばいいんだよね? Mrの執務室って、受付で聞けばわ かる?」 「うーん……僕が玄関まで迎えに行こうか」 「それじゃ、悪いよ」 「いいって。じゃ、4時にPCの正門前ね」 言うと、翔はシャワーを浴びると言って、着替えを取りに自室に戻って行っ た。 「さ、わたしも明日のごはんの下ごしらえしようっと」 視線を向けてもらえたことが、気遣ってもらえたことがこんなにも嬉しい。 絵麻は気を取り直して、台所に戻って行った。