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  平和部隊『PC』と武装集団との抗争はとどまることを知らない。
「絵麻、じっとしててね。離れないでね!」
  喪服のような黒い軍服をまとった軍隊に立ち向かうのは、たった1人の少年。
  青みがかった黒髪と、女性的な優しい面立ち。深い茶色の瞳に刺すような光
を宿した少年は、じっとせまりくる軍勢を見つめている。
  赤黒く焼けただれた手には、ガラス製のシャーレが握られていた。
  中に入っているのは緑色の貴石。
  貴石が青白く光ったのと同じタイミングで、少年の口から言葉がもれた。
「青雷撃(ライトニング)!」
  青雷の閃光がひらめいたと思った次の瞬間、せまりくる黒の軍勢は文字通り
黒こげになって辺りに倒れ伏している。
「よーし、終わり。大丈夫だった?」
  少年は自分の後ろにいた、これも黒髪の女の子を振り返って言った。
「はあ……いつ見ても凄いね」
  背の高い少年の背後にかばわれていた少女は少年を見上げると、嬉しいよう
な、困ったような笑顔をみせた。
  15、6歳くらいだろうか。まだどことなく幼さの抜けない顔立ち。肩につく
かつかないかのセミロングヘアの左サイドだけをピンでとめていて、見上げる
瞳は茶水晶のように澄み切っていた。
  手にはぎゅっと、青い石のついた銀細工のペンダントが握られている。
「そう?」
「だって、わたしにはできないもん」
「絵麻だってだいぶ同調できるようになったじゃない。訓練すればもっともっ
と強い能力者になるよ。僕より強くなるんじゃない?」
「翔より?  それはないと思うな」
  絵麻、と呼ばれた女の子は、そう言って屈託のない笑顔をのぞかせた。
「リリィのほうは終わったかな」
  そう言った時、2人の背後に人影が立った。
  翔と呼ばれた少年の雷撃をかいくぐった武装兵が、2人の後ろに!
「え……!?」
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