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「女子の?」
「男子の責任者は信也よ。全員の責任者でもあるから一応リーダーはあいつ」
「一応、ね」
  ダークローズの少女、唯美が喉の奥で笑う。
「忘れっぽいもんなぁ」
「この子の名前覚えるのにどれだけかかるか賭けない?」
「乗った。いくら賭ける?」
  唯美に同調するようにシエルと、もう1人の鳶色の髪をした少年がはしゃぐ。
「そこ、話を脱線しない」
  リョウが諌言して。
「翔は頭脳労働とメカニック担当。リターンボールも翔が作った奴だしね。
  で、移動担当が唯美」
  話を振られた唯美は一瞬きょとんとなったが、すぐに口の端を緩めた。
「隼唯美よ」
「中央人なの?」
  髪が黒なので、絵麻は聞いてみたのだが。
「東方人」
  むっとしたようにそう返されてしまった。
「ごめんなさい……」
「目が黒いでしょ?  東部の人は髪も目も黒いのよ」
  リョウがあわててフォローしてくれた。
「で、そっちの2人は切り込み隊。金髪がシエルで、茶髪が哉人」
「身もフタもない言い方を……」
「あってるし、わかりやすいだろ」
  あきれたようなシエルの言葉に、哉人が軽くつっこんで。
「琴南哉人。で、そっちのがシエル=アルパイン」
  どうやら、彼がいちばん好意的らしい。
  鳶色の長髪を後ろで束ねて、その上からバンダナを巻いている。着ているの
も同じ色のタンクトップにハーフパンツと、日本にいそうなストリート系だ。
「深川絵麻、です」
  自己紹介しながら、ふいに、絵麻は哉人の目の色に気づいた。
  日本人に近い(中央系?)の外見の彼の目が、蒼く光ったのだ。
「え?」
  シエルの目とは違う。サファイアのような、角度で色を変える瞳だ。
(レンズを入れてるの?)
  聞こうとした時、ちょうど通信を切った翔と信也が席に戻って来た。
「ユーリ、何だって?」
「報酬は今まで通り、参加した人数分出すって。それと、この子の住民登録と
か、仕事とかはこっちで算段するようにってさ」
「そっか」
  シエルがほっとしたような表情になる。
「住民登録って、書類いるんでしょ?」
「あ、僕が持ってる」
  言うと、翔は自分の部屋にあがっていって、すぐに1枚の紙を手に戻って来
た。
「よく持ってたな」
「絵麻に片付けてもらったら出て来たんだ」
「……」
  あれだけ書類を山積みにしていたんだから、確かにあっても不思議はない。
  というか、何だってありそうな気がする。
「これ読んで、必要な部分に書いてくれる?」
  翔が差し出した書類を受け取って、絵麻は読もうとしたのだが。
「……?!」

  XOjINOE MUILUK FOqI

  いきなり読めない文字の羅列が絵麻の頭に滑り込んで来た。
「絵麻?」
「これ……何て書いてあるの?」
「え?!」
「『住民登録表』だよ?  こんな簡単な字……」
  絵麻の顔から、さっと血の気がひく。
「わたし……字が読めないみたい」
「ええっ?!」
  それが、新たな波乱へのスタートだった。
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