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「分け前減るんだったらオレは反対だからな」
  冷たい言い方だった。
「……」
  絵麻も翔も、思わずみんな黙り込んでしまう。
「アタシも反対かも」
  沈黙を破ったのは、シエルと呼ばれたプラチナの髪の少年の隣に座っていた
女の子だった。
  ダークローズのセパレートと、揃いの帽子。僅かにのぞく髪は闇夜のような
漆黒で、瞳も同じ色をしている。
「足手まといになるようならいらない。アタシは目的を達成しなきゃいけない
んだから」
「……まあ、2人の言うこともわかるな」
  信也が冷静に言う。
「って、どういうこと?」
「翔、そのへんの話どうなってんの?」
  気色ばんだ翔に、信也はあっさりと言ってのけた。
「……詳しい話はしてないよ。ただ、絵麻を『NONET』に入れるってだけ」
「じゃ、今すぐユーリに連絡つけよう。話はそこからだ。
  シエルたちもそれでいいだろ?」
「オレはもらえるものもらえるんならそれで構わないぜ」
  これもあっさりと言って、シエルは刺すような視線をひっこめた。
  信也と翔が通信機にむかっている間に、絵麻は簡単に自己紹介をしてもらっ
た。
「絵麻のこと、3人はまだよく知らないんだよね?」
「アタシは名前だけ」
「ぼくは知らない」
「絵麻も3人のこと知らないよね?」
「うん」
  絵麻は頷いた。
「それじゃ、あたしたちの分担もカンタンに説明しとこうか」
  リョウが言って、軽く微笑した。
「『NONET』の話は覚えてるよね?」
「パワーストーンを使う人の集まりなんでしょ?」
「今のところ『マスター』は7人いるの。でも、だいたい2〜3人で行動する
ことが多いかな。大仕事の時は全員だけど」
  細い指先が、空に円を描く。
  リョウは考えるようなしぐさをしながら続けた。
「だいたいあたしと信也、翔とリリィ、シエルと唯美と哉人って組で動くの。
必要に応じて相手は変わるけど、この組み合わせがベターかな」
「組で動くの?」
「むやみに多いと目立つから」
  リョウは自分の胸に手をあてた。
「あたしはリョウ=ブライス。『NONET』の医療業務と女子の総責任者」
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