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「わかりました」
  膝をついていた2人が立ち上がる。
「『エウメニデス』アレクトの名にかけて、ピュア・ブラッドは必ず」
「兵士たちを使った作戦はこの『エウメニデス』メガイラにお任せください」
「ねえ、ティッシーは?  ティッシーは何すればいいの?」
  何かが動き出す雰囲気に、事の成り行きをおとなしく見ていたティシポネが
わめきはじめる。
「『エウメニデス』ティシポネ。貴方はパンドラ様のお側にお仕えなさい」
  メガイラがそっと小さな背を押す。
「それが貴方の仕事なのですから」
「メガイラもアレクトもまた行っちゃうの?  ティッシーつまんないよ」
「その寂しさを紛らわすのがお前の役目だろ」
  ティシポネの膨らんだ頬を、アレクトがぱちんとはたく。
「そうよ。ティシポネは私と遊んでくれなくちゃ」
  白く細い腕が伸びて、ティシポネを軍衣ごと抱き寄せる。パンドラの手だ。
「はぁい。ティッシー、姫と遊んでるよぅ!」
「何をして遊びましょうか?」
「んとね、人間ダーツでしょ、引き裂きごっこでしょ、それに墓荒らしに……」
  ティシポネの上げる遊びの名前に笑い興じながら、パンドラはアレクトたち
に湖面のような青い瞳を向けた。
「いいこと?  必ず血星石を手に入れて戻るのよ」
  その目の奥が、血のような赫い光を帯びる。
「お任せください」
  2人はその目に一礼すると、暗い闇を外へと抜け出していった。
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